介護福祉士資格とは?役割・メリット・4つの取得ルートを徹底解説!

- 介護の仕事は好きだけど、将来のキャリアに不安を感じる
- 介護福祉士の資格に興味があるけど、取得方法が複雑でわからない
- 介護福祉士の資格を取って給与や待遇を改善したい
介護業界でのキャリアアップを目指すなら介護福祉士の資格は強みになります。
しかし、介護福祉士の資格取得までの道のりが複雑で、どこから手をつければ良いかわからない方も多いのではないでしょうか。
この記事では介護福祉士になるための資格取得ルートや国家試験の概要、合格後のキャリアパスを解説します。
記事を読めば介護福祉士になるための具体的な行動計画を立てることが可能です。
介護福祉士になるには実務経験や養成施設など複数のルートがあります。自分に合った方法で介護福祉士資格を取得し、キャリアアップを実現しましょう。
介護福祉士とは高齢者や障がい者などの生活支援を行う仕事

介護福祉士とは高齢者や障がい者の日常生活を支援する介護分野唯一の国家資格です。
介護福祉士は食事や入浴のサポート、生活援助を通じて自分らしく生活できるよう、専門的な知識と技術で利用者を支えます。
利用者や家族の相談対応、精神的なサポートも介護福祉士の重要な役割です。
介護福祉士は現場のチームリーダーとして他の介護職員をまとめる、質の高いサービス提供の中心的存在として期待されています。
介護福祉士は資格保有者のみが名乗れる名称独占資格です。
» 介護福祉士と社会福祉士の違いとは?違いと向いている人の特徴
介護福祉士資格を取得するメリット

介護福祉士資格を取得するメリットは以下のとおりです。
- 就職・転職で有利な立場を得られる
- 給与や待遇の向上に期待できる
- 専門性を高めてキャリアアップできる
介護福祉士を取得すると仕事の選択肢が広がり、就職・転職が有利になります。
» 勝ち組介護福祉士になる4つの方法を解説!
就職・転職で有利な立場を得られる
介護福祉士の資格を持っていると、就職や転職の際に有利な立場で活動を進められます。
介護福祉士は介護分野における唯一の国家資格で、専門的な知識や技術を持っている証明になるからです。具体的には以下のような利点が介護福祉士の資格を取得することで得られます。
- サービス提供責任者などの資格が必要な求人にも応募できる
- 育児や介護で現場を離れても再就職しやすい
- 全国で通用するためUターンやIターン転職にも強い
介護福祉士の資格は安定したキャリアを築きたい方の武器になります。
給与や待遇の向上に期待できる

介護福祉士の資格を取得すると給与や待遇の向上が期待できます。専門的な知識や技術を持つ証として、介護福祉士は多くの職場で高く評価されるからです。
事業所側は介護福祉士を積極的に採用し、長く働いてもらうために給与や待遇を優遇します。
事業所全体で介護福祉士の割合が高まると、国の介護職員処遇改善加算の対象となり、追加の報酬を受けられる仕組みだからです。
介護福祉士の資格取得は個人にも事業所にもメリットがあり、安定した給与や待遇の向上につながります。
専門性を高めてキャリアアップできる
介護福祉士の資格は専門性を高めて将来のキャリアの選択肢を広げる助けになります。
介護福祉士の資格取得で得られる体系的な知識は現場での信頼性を高めるだけでなく、責任ある立場や専門的な役割への道を開くからです。
現場のリーダーや特定の分野の専門家を目指す方、後進の育成に携わりたい方にとって、介護福祉士の資格取得は不可欠です。
介護福祉士になるための資格取得ルート

介護福祉士の国家資格取得には個人の学歴や経験に応じて複数のルートが用意されています。介護福祉士になるための資格取得ルートは以下のとおりです。
- 養成施設ルート
- 福祉系高校ルート
- 実務経験ルート
- 経済連携協定(EPA)ルート
養成施設ルート
養成施設ルートは介護の仕事が未経験の方でも、最短で介護福祉士を目指せる方法です。
高校卒業後に国が指定する養成施設で決められたカリキュラムを修了すると、国家試験の受験資格を得られます。養成施設ルートの種類とコースは以下のとおりです。
- 養成施設の種類:4年制大学、短期大学(2〜3年制)、専門学校(2〜3年制)
- 短期養成コース:福祉系の大学を卒業した方や社会福祉士・保育士の資格を持つ方向けの1年制コース
養成施設ルートでは学校に通うための学費や学習時間の確保が必要になります。養成施設を卒業、または卒業見込みとなることで、介護福祉士国家試験に挑戦可能です。
福祉系高校ルート
福祉系高校や福祉に関する科目を設けている特例高校を卒業して、介護福祉士国家試験の受験資格を得る方法があります。
福祉系高校ルートの魅力は高校に通いながら介護の専門的な知識や技術を基礎から学べる点です。
福祉系高校の場合は卒業と同時に受験資格を得られますが、特例高校では卒業後に9か月以上の介護現場での実務経験が必要になります。
10代のうちから介護福祉士の資格取得を目指す方は、福祉系高校ルートがおすすめです。
実務経験ルート

実務経験ルートでは介護の現場で働きながら介護福祉士の資格取得を目指せます。
実務経験ルートの魅力は学校に通わなくても、実際の介護業務の経験を生かして国家試験の受験資格を得られる点です。
介護福祉士の受験資格を得るためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 従業期間3年(1,095日)以上、かつ従事日数540日以上の実務経験
- 450時間の実務者研修受講
介護福祉士国家試験の受験を申し込む際は勤務先が発行する「実務経験証明書」の提出が必要です。実務経験として認められる施設や事業は定められているため、自身の経歴が対象になるか事前に確認しておきましょう。
経済連携協定(EPA)ルート
経済連携協定(EPA)ルートは外国籍の方が日本で介護福祉士を目指すための方法です。インドネシア、フィリピン、ベトナムの3か国がEPAルートの対象になっています。
EPAルートは経済関係の強化を目的としており、日本国内の人材不足対策を目的とした制度ではありません。
EPAルートの候補者は日本の介護施設での実務経験を3年以上積み、介護福祉士国家試験に合格することで資格を取得します。
介護福祉士国家試験について

介護福祉士になるには年に1回実施される国家試験に合格する必要があります。介護福祉士国家試験について以下の点を解説します。
- 試験の概要と日程
- 受験資格と必要書類
- 試験の合格基準と難易度
- 試験対策と勉強方法
試験の概要と日程
介護福祉士国家試験は試験日や合格発表までのスケジュールが決まっているので、流れを知っておくと安心して対策できます。介護福祉士国家試験の日程は以下のとおりです。
- 申し込み受付期間:8〜9月上旬
- 筆記試験:1月下旬の日曜日
- 合格発表:3月下旬
- 実技試験:3月上旬の日曜日
介護福祉士国家試験の実技試験は実務者研修などを修了した場合は免除されます。介護福祉士国家試験の筆記は5つの選択肢から1つを選ぶマークシート形式です。
「人間の尊厳と自立」や「介護の基本」「コミュニケーション技術」などの11科目から幅広く出題されます。
介護福祉士の国家試験対策は以下の記事を参考にしてください。

受験資格と必要書類
介護福祉士国家試験を受験するには、定められた受験資格を満たしたうえで、必要書類を提出する必要があります。
全員に共通して必要な書類とルートごとに必要な書類があるので、あらかじめ準備しておくとスムーズです。全員が必要な書類とルートによって必要となる書類は以下のとおりです。
区分 | 必要書類 |
全員が必要な書類 | ・受験申込書 ・受験手数料の払込証明 ・顔写真 |
ルートによって必要となる書類の例 | ・実務経験証明書 ・卒業証明書 |
実技試験証明書や卒業証明書は申し込み時点で要件を満たしていなくても、受験年の3月末までに要件を満たす見込みがあれば提出できます。
試験の合格基準と難易度

介護福祉士国家試験の合格率は70〜80%台と高い水準を保っており、計画的に学習すれば合格を狙える資格です。
介護福祉士国家試験では全125問の60%である75問以上の正解が合格ラインになります。ただし、11の介護福祉士国家試験科目すべてで1点以上得点しなければなりません。
合計点が高くても1つでも0点の科目があると介護福祉士国家試験は不合格になるので、全科目を網羅的に学習しましょう。
試験対策と勉強方法
介護福祉士国家試験に合格するためには、計画的な学習と過去問題を中心とした効率的な勉強が必要です。介護福祉士国家試験は試験範囲が広く、専門的な知識が問われます。
やみくもに勉強するのではなく、介護福祉士国家試験の出題傾向を掴んでポイントを絞ることが合格への近道です。
介護福祉士国家試験の過去問題を3〜5年分を繰り返し解き、出題傾向に慣れておきましょう。
介護福祉士資格取得後の手続き

介護福祉士資格取得後の手続きについて、以下の点を解説します。
- 資格登録の手続き
- 資格更新・維持の手続き
資格登録の手続き
国家試験に合格した後は、介護福祉士として働くために資格の登録手続きが必要です。登録申請後、国から「介護福祉士登録証」を受け取り介護福祉士を名乗れるようになります。
介護福祉士の資格登録に必要なものは以下のとおりです。
- 登録申請書
- 収入印紙
- 登録手数料
- 本人確認書類
介護福祉士の登録申請書は公益財団法人社会福祉振興・試験センターのウェブサイトで取得できます。
介護福祉士の登録免許税として、9,000円分の収入印紙と登録手数料3,320円の支払証明書類が必要です。
申請した書類に問題がなければ、およそ1か月で介護福祉士登録証が交付されます。
資格更新・維持の手続き
介護福祉士の資格は一度取得すれば更新の必要がなく生涯にわたって有効です。ただし、以下のように登録した情報に変更があった場合は手続きが必要です。
- 氏名変更
- 本籍地変更
- 登録証の紛失・汚損
介護福祉士の資格の変更手続きは公益財団法人社会福祉振興・試験センターで行います。
介護福祉士の資格の変更手続きの際は、変更登録手数料や再交付手数料などの費用がかかるため、事前に確認しておきましょう。
介護福祉士資格を生かしたキャリアパス

介護福祉士の資格を取得することで、キャリアの可能性が大きく広がります。介護福祉士資格を生かしたキャリアパスについて、以下の点を解説します。
- 介護福祉士が活躍できる職場
- 介護福祉士資格を持っていると取れる資格
介護福祉士はさまざまな職場で頼りにされる存在となり、現場経験を積みながら専門性を高めたり、管理職を目指したりできます。
介護福祉士が活躍できる職場
介護福祉士は高齢者向けの施設だけでなく障がい者施設や医療機関、地域に根ざした事業所など幅広い職場で活躍できます。介護福祉士が活躍できる職場は以下のとおりです。
- 特別養護老人ホーム
- 介護老人保健施設
- 介護医療院
- 有料老人ホーム
- グループホーム
- デイサービス
- デイケア
- 訪問介護事業所
- 小規模多機能型居宅介護
- 障害者支援施設
- 病院やクリニックなどの医療機関
生活上の支援を必要とする方はさまざまな場所にいるため、介護の専門家である介護福祉士の力が求められています。
介護福祉士資格を持っていると取れる資格
介護福祉士の資格を取得すれば、上位の資格や関連資格を取得しやすくなります。介護福祉士資格を持っていると取得できる資格は以下のとおりです。
- ケアマネジャー(介護支援専門員)
- 介護福祉士として5年以上の実務経験を積むと受験資格が得られます。
- 認定介護福祉士
- 介護福祉士の上位資格で実務経験5年以上などの条件を満たし、研修を受けることで取得可能です。
- サービス提供責任者
- 介護福祉士の資格があれば、実務経験がなくてもサービス提供責任者として働けます。
- 福祉用具専門相談員
- 通常は指定された講習が必要ですが、介護福祉士の資格があれば講習を受けずに仕事に就けます。
- 介護福祉士養成施設の教員
- 介護福祉士の資格取得と5年以上の実務経験があれば、介護福祉士養成施設の教員を目指せます。
介護福祉士の資格取得後は、自分の目指すキャリアに合わせて次のステップを考えましょう。
介護福祉士資格に関するよくある質問

介護福祉士資格に関するよくある質問として、以下の点を解説します。
- 実務経験ルートでの注意点は?
- 資格取得にかかる費用の目安は?
実務経験ルートでの注意点は?
実務経験ルートで介護福祉士を目指す場合、単に3年間働いただけでは受験資格を得られないため、注意が必要です。
実務経験ルートでは定められた実務経験の日数や対象となる職場、必要な研修など、満たすべき要件が細かく決まっています。実務経験ルートでの注意点は以下のとおりです。
項目 | 注意点 | 補足説明 |
実務経験の要件 | 従業期間3年以上+従事日数540日以上 | 就労した期間と実際に介護業務に従事した日数の両方を満たす必要がある |
対象業務・職種 | 介護業務が主たる業務でなければ認められない | 生活相談員など相談援助中心の業務や福祉用具専門相談員、医療・リハビリ職などは対象外 |
休職・休暇の取り扱い | 休業期間は従業期間に含まれるが従事日数には含められない | 育休/病休などは在籍期間として扱われるが、実際に介護業務を行った日数でカウントしなければならない |
実務経験の要件となる勤務先には「実務経験証明書」を発行してもらう必要があります。複数の職場で経験を積んだ場合は、すべての勤務先から実務経験証明書を取得してください。
資格取得にかかる費用の目安は?
介護福祉士の資格取得にかかる費用は選ぶルートによって変動します。介護福祉士の資格取得にかかる費用の目安は以下のとおりです。
- 実務経験ルート:8~20万円程度
- 養成施設ルート:200~400万円以上
- 国家試験受験手数料:約1万8,000円
- 資格登録費用:12,320円
介護福祉士を目指す方によっては厚生労働省から助成金を受けられる場合があります。勤務先の事業所を通じて自治体の助成金を申請できるパターンもあるので確認してみましょう。
「介護福祉士・社会福祉士を目指す方々へ:修学資金貸付制度のご案内」厚生労働省
介護福祉士資格を取得してキャリアアップにつなげよう

介護福祉士資格は介護の専門家であることを国が認めた証であり、市場価値を大きく高めます。介護分野でキャリアアップを目指すなら国家資格である介護福祉士の取得がおすすめです。
介護福祉士の資格を取得すると、専門知識が深まり、給与アップや転職の面で有利になります。高齢化が進む社会において介護福祉士の専門性はさらに重要となるため、安定した需要が期待できる価値ある資格です。