「若い人は介護職につかない方が良い」と言われてしまったあなたへ
「若い人は介護職につかない方が良い」と言われたら不安んになりますよね?
しかし、批判的な人たちの言葉に人生を左右されるのはもったいないです。
私はこれまでの介護士経験で、心から尊敬する若い介護士さんをたくさんみてきました。
この記事では、若い人が介護職につかない方が良いと言われる背景、介護職に挑戦することのメリットを私の経験を踏まえて解説します。
結論、方向転換はいくらでもできる若い今だからこそ、やりたいことをやるべきです。
若い人は介護職につかない方が良いという意見
「若い人は介護職につかない方が良い」という主旨の意見をインターネットとX(旧Twitter)で検索すると、以下のような回答がありました。
私の考えも踏まえて解説します。
私はやりたい時にやりたいことをするのが一番だと考えます。
介護職をしながら副業で他の仕事をしている人もいるし、介護職をしたあとに別業界で活躍する人もいるからです。
だいぶ癖の強い偏見ですが、たまに聞かれる意見です。
実際の現場では、自分に対して弱い人を助けるいい人だと思っている介護士はほとんどいないでしょう。
駅で黄色い線の外側にいる目の見えない人がいたら声をかけますよね?誰かに道を尋ねられたらわかる範囲で答えますよね?多くの介護士はその程度の感覚です。
私は若者ではないし13年以上介護士をしていますが「ふーん」と思いました。
全然意味がわからないです。
このように「若い人は介護職につかない方が良い」という意見はさまざまですが、本質的な答えはシンプルです。
介護の仕事に満足感を得られていない人は「介護職につかない方が良い」と発言し、介護の仕事に誇りを持っている人たちは「介護職につかない方が良い」とは言いません。
若い人が介護職を始めた方が良い理由
介護職は、若いからこそやりたいと思ったときに始めるのがおすすめです。
介護士歴13年以上の私が、若い人に介護職をすすめる理由は次の4つ。
- コミュニケーション能力が身につく
- メンタルが強くなる
- 仕事に困らない
- 手に職がつく
順に解説します。
コミュニケーション能力とメンタルの強さは、若い時に鍛えた方が良いスキルです。
介護職特有の環境で訓練できるので、他の仕事に転職したとしても役に立ちます。
コミュニケーション能力が身につく
介護の仕事に真剣に取り組む人ほど、コミュニケーション能力が身につきます。
私は過去に一流ホテルやレストランでの仕事、プライベートを通してステータスのある人とも関わってきましたが、尊敬する介護士はコミュニケーション能力がずば抜けて高いと感じています。
具体的には次の3つ。
- 相手を否定しない
- 基本的に肯定から入る
- 意見のすり合わせが上手い
残念ながら真逆のタイプの介護士もたくさんいますが、できる介護士は上記3つのコミュニケーションスキルがめちゃくちゃ高いです。
介護職として仕事に取り組むうえで絶対に必要なスキルになるため、真剣に取り組む人ほどコミュニケーションスキルが身につきます。
メンタルが強くなる
介護職はさまざまな職種や利用者・家族と関わるため、メンタルの強さが鍛えられます。
それぞれの立場からいろんな意見は飛んでくるし、利用者さんは介護士が望むようには動いてくれません。
介護職という仕事は、どんな嫌な思いをしても相手を受け入れる努力が必要になるのです。
たとえば、利用者さんにセクハラや暴言・暴力がみられることもありますが、介護士は受け入れたうえで対策を考えなければいけません。
納得いかない状況においても論理的に考える力が必要になるため、メンタルは強くなります。
とはいえ、良い施設は利用者さんのセクハラや暴力に対して真摯に対策を練ってくれるものです。
しかし、最悪の施設には「受ける方が悪い」 と発言するような管理者がいるのも事実。
最悪の施設で働きたくない人は転職のプロへの相談が必須ですよ。
転職に困らない
介護職は人手不足のため、転職市場においては有利な立場です。
たとえ、転職に失敗したとしてもすぐ仕事先を見つけられます。
私自身、約5年前に転職していますが自分にあった職場をとことん選ぶことができました。
日本全体においては、2025年までに毎年約5万人の介護職員が不足すると言われており、転職に困らない事実は数字が表しています。
年度 | 介護職員の必要数 | 年間増加数 |
2023 | 約233万人 | 約5.5万人 |
2025 | 約243万人 | 約5.3万人 |
2040 | 約280万人 | 約3.3万人 |
2040年には約3.3万人の不足へと転じていますが、転職に困らない環境はしばらく継続されるでしょう。
実は、介護福祉士の資格を取れば転職でキャリアアップを図るのは難しくありません。
一般的に転職が難しい年齢と言われる、48歳で150万アップの転職に成功した人もいます。
手に職がつく
「介護職はスキルが身につかない」「誰でもできる」などネガティブな意見を言う人もいますが、資格がなければできない仕事であり、経験があれば仕事探しに困りません。
私の知人はカナダで介護士をしていますが、時給3,000円くらいで働いていると話していました。
永住権を取るために一時帰国していると聞き、うらやましく思ったのを覚えています。
日本に住み続けるにしても、海外で働くにしても、介護士の資格と経験があれば食うに困ることはないでしょう。
介護施設で活躍する若い介護士
介護施設で出会った尊敬する若い介護士さんを紹介します
特養に就職が決まった介護士Oさん
大学に通いながら介護施設へアルバイトに来ていたOさんの話です。
彼の特徴は素直な性格。
いろんな職員が意見の違うことを教えても、反発せず、柔軟に聞き入れる姿勢が素晴らしい人です。
特養に就職が決まったと聞いたので彼に介護士を志した理由を尋ねてみました。
介護業界はネガティブな意見が多いけど、なんで介護士になろうと思ったの?
自分は、ひいおばあちゃんが好きだったんで、死んだ時に悲しかったんです。
大学までいって両親には反対されなかった?
やめときなって反対されました。
どうやって説得したの?
自分には向いてると思ったんでそのことを伝えたら、やりたい気持ちを止めてもしょうがないと納得してくれました。
僕はこの仕事が向いてると思うんです。
やってみてダメだったらその時考えようと思います。
介護士は祖父母に対して良い思い出がある人が多いです。
彼の純粋でまっすぐな姿勢は、誠実に介護の仕事と向き合う大切さを思い出させてくれました。
入社3年目で有料老人ホームのフロアリーダーになったTさん
入社3年目にして有料老人ホームのフロアリーダーとして活躍したTさんは、介護職を志す若い人に勇気をあたえる存在です。
彼女は利用者さんに対して、とにかく優しくて愛情深いのが特徴。
真面目で仕事に妥協しない彼女の姿勢はとくに印象的でした。
短大で介護を学んだとはいえ、わずか3年で年配の職員たちを束ねるリーダーに昇格した彼女。
ただ単に尊敬すべきことではなく、若い人が成功できる可能性の証明でもあります。
Tさんは常に笑顔で、コミュニケーション能力が高く、仕事に対する姿勢はいつも真剣そのもの。
彼女のように心から介護職を楽しみ、日々の仕事に情熱を注ぐことができる若い人は、これからも大きな達成感を得ることでしょう。
特養で介護主任を勤めるAさん
特養で介護主任を勤めるAさんは最年少で20代の介護主任。
彼の口癖は「すり合わせ」で、人の話に耳を傾け、誰に対しても公平に接する人でした。
意見がぶつかり合う現場において、お互いにすり合わせて目的地へ導く姿勢を持った人です。
彼がすごいのは絶対に人の悪口や文句を言わないこと。
私も長く介護職をしていますが、悪口や文句を一言も聞いたことがないのは彼だけです。
力強く周囲を引っ張っていくリーダーではありませんが、賢く強かにチームに貢献する姿は多くの職員が認めていました。
彼について思い出すと、アドラーの「幸せになる勇気」にある次の一文が浮かびます。
人間の価値は「どんな仕事に従事するか」によって決まるのではない。その仕事に 「どのような態度で取り組むか」によって決まるのだ。
幸せになる勇気
介護士の給与は改善されている
介護人材の確保のため、近年は処遇改善が活発に行われています。
これまでの処遇改善加算の歩みは以下の表をご覧ください。
時期 | 措置 | 改定内容 | 月額増加額 |
平成21年4月 | 平成21年度介護報酬改定 | 介護従事者の処遇改善に重点 | +9,000円 |
平成21年度 | 補正予算 | 処遇改善交付金措置(1.5万円相当) | +15,000円 |
平成24年4月 | 平成24年度介護報酬改定 | – | +6,000円 |
平成27年4月 | 平成27年度介護報酬改定 | 処遇改善加算の拡充(1.2万円相当) | +13,000円 |
令和5年2月29日時点での処遇改善加算と事業所全体の取得状況は以下のとおりです。
- 処遇改善加算:93.8%
- 介護職員等特定処遇改善加算;77.0%
- 介護職員等ベースアップ等支援加算:92.1%
実際に私の給与明細の一部をみてください。
上記3点の加算がそこそこ大きな金額であることがわかります。
国は介護職の人材の流出を防ぎ、人手不足を解消したい狙いがあるため、今後も介護職の処遇改善は進められていくでしょう。
給与は改善されているが落とし穴もあり
介護職の給与は改善されているのですが、実際には現場で働いている職員にしかわからない落とし穴もあります。
介護処遇改善加算の内訳は各施設の裁量で決まるという難点です。
以下SNSの投稿をご覧ください。
皆さ〜ん冬のボーナスどうでしたか?😊
— ごっつぁん (@gtmh869) December 21, 2023
自分のところは年2回の処遇改善手当がボーナス替わり😨
新しい職場いいわ
— 介護福祉士sukekiyo (@BBkakgo01) January 4, 2024
面接の時に説明されなかった手当とかあるとのことでビックリだわ
私が働く施設は運営母体が大きな組織のため、処遇改善加算が職員に還元されていますが、職員まで行き届いていない施設もあります。
加算がついても職場によって職員への還元率に差がみられるのが介護業界の悲しい現実で、知らない人は普通に損していることも気づいていません。
損したくない人は、しっかり職員に還元してくれる事業所を自分で選ぶしかないのです。
職場が決まったあとで他の施設と比べてガッカリしたくない人は、転職活動にベストを尽くしてください!
私が実際に「転職を成功させたエージェントの比較記事」を以下にまとめたので、失敗したくない人はみてくださいね。
まとめ
「介護職に若い人はつかない方が良い」という意見は気にする必要がありません。
否定的な意見は自分の仕事に満足していない人たちと、ネガティブな側面しか知らない人たちの一方的な言葉だからです。
給料に関しては、私も含め日本の平均年収より高い介護士さんもたくさんいます。
介護業界で起業した人や介護職から別事業を展開して成功した人もいるので、否定的な意見だけを鵜呑みにするのはナンセンスです。
あなたがやりたいことに挑戦するのが一番です。一生懸命に努力をすればあなたを評価してくれる人は必ず現れます。
向いてないと思ったら他の職種に切り替えれば良いだけなので、まず自分の心に従い介護職へ挑戦してみてください。
※介護の資格を持っていない人は必見!
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